Yuki2Invy

国境の夜想曲のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

国境の夜想曲(2020年製作の映画)
3.8
ロージ監督が所謂クルディスタン地域周辺を三年間独りで旅して、そして在るが儘の彼の地の様子を唯々カメラに収めた…という作品の様である。正に文字どおり実にごく「硬派な」ドキュメンタリであって、映される映像そのものには作為的なモノとゆーのは何一つ感じられない。だから当然同時に、物語性やメッセージ性も(コレも作為的・意図的なモノは特に)ほぼほぼ感じ取れない…というトコロでもあるかと思う。為に畢竟、唯々流れてゆく映像・時間に浸っているしかない…という意味では、こーいうのに慣れてないと若干は退屈してしまう…というコトもままある作品だとは思われますね(私自身も、泣く泣くスルーはしたものの、やはり劇場で鑑賞した方が入り込めただろーな…とは大いに感じましたです)。

それでも、彼の地とソコに住まう人々が織りなすごく高度に荒んだ世界の情景+希望の見えない行先の苦しさ自体とゆーのは、その(常に)寂寥として静寂に満ちた映像自体からも否応無しに(=コレは作為的という範疇のモノでなく)確実に感じ取れるとは思うのですし、ソレこそが正にドキュメンタリの根源的価値なのだろう…とも思います。十二分に良作なのではないでしょーか(オススメ)。
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