福福吉吉

国境の夜想曲の福福吉吉のレビュー・感想・評価

国境の夜想曲(2020年製作の映画)
3.0
◆概要◆
イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯を撮影したドキュメンタリーとなっており、侵略や圧政、テロリズムの犠牲になっていた地で生きる人々の姿を描いている。

◆感想◆
本作はかなり静かな映像を集めたものになっており、その合間に精神病院での演劇で彼らの住む土地で他者による暴挙が繰り広げられていたかを伝えるように構成されていました。前述の国境地帯でアメリカ軍や民間の兵士たちが闊歩するシーンが多く入っているのですが、直接的な戦闘シーンなどは一切ないため、映像の変化が乏しく、観ていて冗長に感じる部分がありました。

学校でヤジディ教徒へのISISからの攻撃を子供たちが絵を描いて語るシーンは、子供たちの口から「殺される」という言葉が頻発するため、その恐怖が伝わってきました。子供たちの絵に黒ずくめの男たちが村人たちを殺す様子がしっかり描かれていて、子供たちの心に消せない傷が残っているように感じました。

本作は国境地帯を撮影したものであり、国の中では更に過酷な状況になっているのではないかという怖さと不安をかき立てるものになっていて、その中で「平和」「自由」を叫びようがないという現実がそこに住むしかない人々にあるように感じました。映像としてはかなり静かなので、少し変化が欲しかったですが、観た甲斐はあったと思います。

鑑賞日:2024年10月8日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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