空海花

私というパズルの空海花のレビュー・感想・評価

私というパズル(2020年製作の映画)
3.4
監督コルネル・ムンドルッツォ
制作にはスコセッシの名前も。
主演ヴァネッサ・カービーがヴェネツィア国際映画祭で女優賞受賞。
アカデミー賞主演女優賞ノミネート。
原題は“Pieces of a Woman”

女性には空虚になる臓器がある。
何もそれは出産だけではない。
月のものもホルモンサイクルを考えると、実は小さな出産のようなもので、
だからその時女性は不安定になる。
この作品では、リアルな長回しの出産シーンがある。
緊迫したこのシーンのインパクトはなかなか。
その後に起きる内容もあるので
デリケートな妊婦さんは観ない方がいいのかも、とも思う。
私は子供の頃、ドキュメンタリーか何かで出産シーンを観て、「ムリかも」と思ったことがある。
だからってそれが影響してはいないと思うけれど。
産みの苦しみの描き方として一つの手段を衝撃的に展開させた。

こんな時、男性は何もできないと言うが
この夫、シャイア・ラブーフは他の人にはどう映るのだろう。
何もできず右往左往に見えるのか
優しく寄り添う夫に見えるのか。
その後の行動はどうか。
今は立ち会い出産も多いし
撮影する人も居る。
私はある地点まではかなり自然に見えた。

ヴァネッサはプライベートムービーを見せてもらったり、出産に立ち会わせてもらったりしてあの演技に臨んだという。
出産はお腹の中に居る時から命がけだし
子供が産まれてくることは本当に奇跡だから、当たり前だけれど命は大切にしたい。

痛みと喪失感の大きさは果てがないように思える。
その後の彼女の生活。
彼女の母との考えの違い。
法廷劇もある。
これはなかなかプライベートな主題なので、気になる部分が人によって違うのではないだろうか。

彼女の内々とした苦しみ
きっかけや決断には感動を覚えたが
これもほんの一部のような。
母の話は投げかけられたまま。
そもそもそんな余裕は彼女になかったろう。
夫や助産師のことも気になる。
男性はそういう意味で欠けはしないが
あまり描かれている感じはしない。
埋めるか、取り除くか。

林檎や橋が象徴的に描かれるが
生々しさの余波が続く画面に
フィットしていたかどうか。
林檎の木は好きだ。
センシティブな主題を描くには
優しさが足りないと私は思った。


2021レビュー#091
2021鑑賞No.138


シャイアのブロッコリーの件🥦♬(笑)
アドリブらしいです😂
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