野菜

ミス・マルクスの野菜のレビュー・感想・評価

ミス・マルクス(2020年製作の映画)
3.7
エリノアの心の叫びを代弁するかのように劇中何度も流れるパンクロックが最高

エリノアがずっとぶち当たり続けた、女が受ける抑圧、男から搾取される社会構造、労働者の劣悪で不当な労働環境、それらは残念ながら現代にもしっかり引き継がれてしまっていて、そしてそれを吹き飛ばせるような希望とか解放を感じるエンパワメントな作りにもこの映画はなってない 最後までただただ現実で憂鬱で苦しい 
父のカールマルクスや内縁の夫のエドワードは『著名』で『立派』で尊敬されている学者や活動家であるけど、女の抑圧については関心がなくむしろ性差別に加担してる  この構図も現代にばっちり引き継がれてて、あらゆる分野で著名で尊敬できるような活動をしてる人がすげえセクシストだったというのは今でもあるあるな話 胸糞が悪い

エリノアは聡明で知的で情熱も行動力もあってフェミニストで社会主義者なのになんであんなクズのエドワードに終始振り回されたのか 自ら服毒して人生の幕を閉じることになる晩年まで献身的に尽くしたのか 彼女の思想との、ものすごい矛盾では…とずっとモヤモヤしながらみていたけど、恋愛と情による人間の選択や行動って確かに矛盾だらけではあるし、それプラス女の場合社会からのケア労働や感情労働の押し付けがある 夫を、父を、男をたてて敬って世話するものって刷り込まれる 聡明でフェミニストのエリノアでもそうなってしまうほどに

ラスト、なにかが吹っ切れたエリノアがパンクに合わせて踊るシーンは少しだけカタルシスがあったけど、その後の展開はやっぱり辛いし最後までしんどい映画やった でも観てよかった

ちなみにクズのエドワード役のパトリックケネディ、ヒモ体質で金遣いの荒いクズ男役にめちゃくちゃはまっててよかった