ノラネコの呑んで観るシネマ

ニューオーダーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.5
これは超ダウナー系。
主人公は、豪邸で盛大な結婚パーティーを開いている裕福な新婦。
しかし街ではデモ隊が暴徒となり、やがて彼らは富裕層に対する敵意と共に、パーティー会場にも雪崩れ込んでくる。
殺戮が起こり、人生最良の日の宴は、瞬く間に戦場と化す。
だが、主人公にとって、これは地獄巡りの 始まりに過ぎないのだ。
貧富の差が極限に達し、既存の秩序が崩れ去ると、新しい秩序=ニューオーダーが築かれる。
しかし、それが以前の秩序よりマシとは限らない。
暴力をさらに強大な暴力で押さえ込むと、そこに現れるのは本当の弱肉強食。
人間がもはや人間ではいられない、極限のディストピアだ。
全く容赦も救いも無い映画ゆえ、かなり観客を選ぶ。
流血と言うよりも、イヤーな気分になる映画に耐性が必要。
人間が密林の動物に戻る瞬間を、緑のペンキが象徴する。
戦争の終わりを見られるのは、死者だけ。
メキシコの異才ミシェル・フランコによる、パワフルな寓話だ。
ブログ記事:
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