まさ

いとみちのまさのレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
3.8
青森を舞台にした、内気な高校一年生の成長ストーリー。監督も主役の駒井蓮も青森出身ということもあり、背景、言葉、雰囲気と青森感満載の本作。生粋の青森弁も惜しみなく繰り出されるので、時折、標準語訳の字幕がほしいなと思うくらい。でもその辺りが本作独特の温かみを生み出している。登場人物も皆温かい。いとのバイト先であり、本作の主要舞台となるメイドカフェで働く人たちも素敵で、いとに対する眼差しも温かい。メイドカフェを一つの「社交場」として温かく描くのはなにより素敵。思春期にあり、自分を見失った主人公が、これまで触れたことのなかった社会に触れ、温かい人たちに囲まれてそれぞれの思いに触れることを通して、少しずつ自分と、そして遠ざけていた三味線とも向き直していく。幼少時に亡くなった母との少ない思い出を思い起こし、今の自分への繋がりを感じ、彼女の思いが溢れるところはウルッとくる。ストーリーの起伏は少なくて感涙とまではいかないが、ホロリとして、心がぽかぽかになる作品。
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