籠

いとみちの籠のレビュー・感想・評価

いとみち(2020年製作の映画)
4.1
地域の状況、実態は不詳だが青森2020をこのように描く製作陣の思惑を案じながら監督の過去作品に思い入れのない私は津軽弁の聴き取りに集中しながら観ていたが予備知識のなかった柳島克己の見事なカメラワークの中で様々な表情と演奏で魅せた駒井蓮に釘付けになった。デイヴィッド・バーンありきの「アメリカン・ユートピア」を凌駕する映画ありきの津軽三味線による音楽映画だった。
ともだちの部屋での会話から三味線を弾く間や、髪を梳かしてもらっている時に涙が流れる間がカットを割らずに成立しているのにはただただ見惚れた。
相米慎二の映画よりは言ってることはわかる。津軽弁は詳しくはないが近年の関西を舞台にした作品でありがちな明らかにおかしなテキトーなイントネーションをここで感じることなかった。豊川センパイは関西人。出演者は全て良かった。
高橋竹山という名前しか知らず興味もなく今に至るが弟子の西川洋子の素晴らしさにより本来の邦楽に手を出したくなる年相応さに苦笑したり永山則夫に手を出したことがないまま1960年代がどうとか言っている自分にはまだやることがあるのかもしれないと思わせられたりした。(のか?)
見逃さないでよかったが柳島克己と知っていれば監督名で迷うことはなかったのだ。
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