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ビューティフル ドリーマーのJINのレビュー・感想・評価

4.7
押井守原案って聞いて予想はしていたけど、これは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を観ていなかったらかなり何のこっちゃ?で賛否がハッキリ分かれそう。
自分みたいに我が人生で一番何度も観た映画がうる星2だという人間からすると最高に興奮する作品。

要するに、言ってしまえば美大の映画研究会が押井守監督の大傑作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の実写映画を撮影しようとする話。
そこはいろいろ問題ありそうやから直接的には言ってないんやけど(笑)
だからあのシーンやこのシーンを再現しようとするので、内容知ってればもうワクワク。
しかも思ってた以上に頑張ってる。

観ながら驚いたことがあって、やけにアドリブが多いなと思ったら、台詞の半分以上が即興だそうな!
通りで素っぽい顔がちらほら見えるわけだ。
それもこの作品では出演者の役名が全員実名のカタカナ表記だったりするので十分アリだと思えてしまうというのも面白い。
主演の小川紗良は実際に監督もやる人なので実に生き生きしてて良かったなあ。
劇中でのキャスト選びがなかなか良くて、池田純矢や飯島宏騎はハマリ役。
中でもうる星2の再現度で最も忠実に頑張ってたのが秋元才加だろう。
彼女の台詞回しはしっかり元ネタを何度も観てコピーした努力の跡が感じられた。

本広克行監督が押井守監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』に多大なる影響を受けて、『サマータイムマシン・ブルース』というこれまた傑作を作ったことは知っていたので、いろいろ原点に戻ってみたくなったりとかもあったのかなあ?
映画を撮るという熱や楽しさが学園祭前日と重なって。
うる星2のレビューでも書いたけど、楽しくかけがえのない「今」を好きな人達とずっと過ごしていたいというのは「夢」。
そんな夢ならいつまでも覚めないでほしいっていう。
それでもいつかその夢からは覚めるし、現実の日常と向き合わなくてはならない。

映画愛を感じられる作品で自分は大好き。
ずっとわちゃわちゃ楽しく引っ張ってくれたのに、ラストが弱くて残念。
EDもどうせなら松谷祐子の『愛はブーメラン』のパロディ曲でも作れば良かったのに。
それでもイイ夢を見させてもらった。
大好きな作品をこうゆう形で扱ってくれて、そのチャレンジ精神を大いに評価したい。
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