アルパカメタル

AWAKEのアルパカメタルのレビュー・感想・評価

AWAKE(2019年製作の映画)
3.7
公開時あんまり気にも留めずスルーしてたけど、かなり面白かった。

タイトルにもなっている「AWAKE」は実際にある将棋のプログラムで、プロ棋士とAIが対局する電王戦も実際に行われた出来事。実話が元になっているのでネタバレもクソもないと思うけど、実際にAWAKEと戦ったプロ棋士の将棋の指し方が当時ネットや将棋界を揺らした、というところから着想を得てこの作品が制作されたと。

スポーツ選手とかにも共通するが、競技に打ち込む姿で観客を魅せる(それでお金をもらう)プロゆえの美学、それと勝負として勝ちにこだわる姿勢は両立できないものなんだな、と感じた。

「こういう実話があるんですよ」と史実を広く周知してもらうための映画ではなく、電王戦を通して監督自身が考えたことを作品にして「みんなも一緒に考えてみようぜ!」的な作品の姿勢がかなり気に入った。吉沢亮演じるAWAKEのプログラマーも、若葉竜也演じるプロ棋士もかなり脚色されているけど、その脚色部がこの映画を静かに熱い青春映画としての趣きすらもつものに昇華させている。