柊

犬部!の柊のレビュー・感想・評価

犬部!(2021年製作の映画)
3.6
原作既読。

随分昔に読んだので、細かい部分の記憶はちょっとあやふやながら、原作はもっと犬部の日常を面白おかしく、そしてしんどいながらも楽しくそんな感じだったと思う。学生サークルとは言え、命を守る彼らの犬部は、24時間365日体制だ。遊びたいそこら辺の学生の生活とはまるで違う。でも命を守る誇りは、学生サークルとは言え立派だなぁと読後に感心した。
そして、獣医の学生は6年で入れ替わる。活動を存続させる苦労も並大抵では無かったと記憶している。なので原作には彼らの卒業後の生活は多分描かれていない。
でもそれではただ学生サークルの活動記憶にしかならないし、今のご時世動物愛護問題は良い面悪い面それぞれを取り上げて、ペットブームにひとこと…まぁ問題提起もしないと作品としては成立しないと思うので、学生時代と社会人としての今を織り交ぜた構成は納得。

でも十和田と東京ってかなり距離があるのに花井先生は隣町に行く気安さだったな。ま、いっか。
この活動に文句をつける人はほぼいないと思う。本当に立派。ただその一言に尽きる。
でも何かどこか最後に落ち着かないのは、音楽のせいかな?特にラストシーンのBGM何か悪い事が起きそうな音楽だった。そしてそこに被せてくるエンディング曲。もっと穏やかな十和田の美しい風景にマッチするような音楽だと良かったかな。全体的に音声が私には耳障りで、役者の声も心地よく聞こえなかった。
そこが残念。決して悪い話じゃないのに今ひとつ深くない。

中川大志、外で瀕死の状態で見つかった時の顔が青いドーラン塗って、LIFEのコントキャラになっちゃうんじゃないかと心配してしまった。
林遣都が卒業したらちゃんとおっさんになってた。
原作では、犬部の中の猫担当同様、齧歯類つまりウサギ担当も結構重要だったけど完全にカットだったな。ウサギ可愛いのに残念。笑

使命を持って命を救う事。それは大事。
でも一番の問題は、命が商売になり、ペットを飼うことがブームになっている事だろう。
命の重さは人間も動物も等しい。ならば悪質なブリーダーやショップ、そして安易に動物を飼い、手に負えなくなると放り出す飼い主であると言う事を我々はきちんと知る必要がある。ペットは家族という事なら、途中放棄や虐待は罪であるという感覚を肝にめいじる必要がある。
そしてそれと同時に至れり尽くせりの飼育もどうかと思うが、まぁそこのところは今回の作品にはあまり関係ないかな。
柊