Alighieri

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」のAlighieriのレビュー・感想・評価

4.0
“主人公”になれなかった主人公の悲しい愛の物語をジェームズマカヴォイが熱演。鏡と向き合うシーンが多かったのが印象的で、鏡は自身の顔を写し出してくれるが自身の内面は全く見えない。その内面こそがこの物語のキーポイントであり、人間の真の部分なのだと気付く。シラノはあらすじを大まかに知ってるくらいで作品自体にきちんと触れた事がなかったので、これは現代でも充分に通じる話なのだと改めて認識した。根強く残るルッキズムに悩まされる人は数多くいるし、自分も実際そうである。でも本当に大事なのはその人の内面性であり、そこに気付けるまでに意外と時間がかかるのも事実。今作はずっとシリアスな感じなのかと思っていたが、結構笑えるシーンが多かったのが意外だった(爆笑というほどではないが、クスッと来るシーンがいっぱいある)。あとボイパに乗せてラップ調に詩を詠んだり手紙を読み上げたりしてたのも演出として凄く面白かった。ボイパの女の人めちゃくちゃかっこよかったな。
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