Yotta

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」のYottaのレビュー・感想・評価

5.0
本当にかっこよかった…!
演劇自体を見るのが初めてで、なぜかとても緊張した🫠
最初ヒューマンビートボックスで始まった時は戸惑いが隠しきれなかったけど、途中から気にならない…というか、もはや演じている人みんなが上手すぎて、大掛かりな舞台装置が無くとも、その情景すら見えた気がした

普段映画を見ているから特に思ったんだけど、あそこまで舞台や衣装をシンプルにすると、ここまで俳優の息づかいや表情に注目できるんだ…って驚いた
舞台装置はシンプルといえど、姿見やフードコートにありそうなイス、そして有線マイクなんかを演者が使いながら演じる事で"特別な物"みたいに感じた!

その中でも印象的だったのが、手紙を受け渡すシーン!
手紙の代わりにマイクを渡すなんて…!
このバージョンのシラノだからこその演出だと思う〜
剣が得意なシラノだけど、もちろん剣は使わないで言葉とマイクとマイクケーブルで戦う

本当にフェンシングをしてるかのように振る舞うし、次々と繰り出される鋭い言葉!
それもよく噛まないな…って思ってしまうほどの速さで紡がれる!
言葉を巧みに操るってこういう事か…ってなった😳
あと、言葉でリズムを奏でていて、そこにビートが乗れば自然と縦ノリしてる自分がいた!笑

俳優や演出だけでなく、お話もとても面白い!
シラノ・ド・ベルジュラック自体はとても有名な作品なんだね…(最近まで知らなかった)
見た目以上に剣や詩の才能があるのに、大きな鼻がコンプレックスで、自分の見た目が醜い為に、好きな子に素直に好きって言えないなんて…どの時代も一緒なんだね…

シラノ自体は気性が荒くて戦闘狂なのに、好きな子の事となると、もじもじしちゃって、自分の気持ちを打ち明けられず、ご褒美のキスも断ってしまうのかわいすぎないか…?🥺🧡
それにしても、自分の言葉を伝えたいからって、恋のライバルであるクリスチャンに「その美しい体を貸してほしい」って言って2人がくっつく為に詩を書くなんて…
独占欲は無いのかなぁ…
少なくとも傷ついた切ない表情をしていたよね

あと、あらすじ読んだ時には暗い劇なのかと思ってたけど、割と笑いがあったのも良かった!
言葉もそうだけど、声色を変えたり、クセのある言い方にしてみたり、愉快な動きがなんだかかわいい〜😌🧡
ロクサーヌに褒められた時とかに舌を鳴らして両手で「ぐっ👍🏻」ってするマカヴォイにやられました😇
何回でも見れる…愛しすぎ…

やっぱりマカヴォイの演技が大好きって再確認した!
怒り狂って声を荒げたり、低音ボイスを使って敵を倒したり…セリフ回しが絶妙だし、あんなに高速のラップなのに噛む気配がない!
コンパクトな体格だけど、誰よりもダイナミックな動きをするところも好きだ〜〜〜😭🧡

それにシラノを演じる為に鍛えたそのゴツゴツとした見た目からは想像が出来ないような繊細で壊れてしまいそうな心…だけど正義感や信念があり力強い眼差しで客席をにらむ…
ロクサーヌに手紙で愛を伝えるシーンでは、愛しさが大爆発して、温かく何かを求めるようなうるうるの瞳…震える声、言葉と言葉の間…泣きました…

シラノがロクサーヌを好きになったきっかけが明かされていないけど…もしかして自分は持ってない"美しさ"を持っていたからかな?人は自分が持ってないものをパートナーに求めがちだからなのかな?って私は考察した…


にしても最高だったな…
本当に…見れてよかった…!!
演劇にはあまり興味が無かったけど、その場その場のエネルギーが凄くて圧倒されるし、ライブだからこその演出がすごく好きかもしれない🙌🏻
Yotta

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