atsuki

ワイルド・スピード MEGA MAXのatsukiのレビュー・感想・評価

ワイルド・スピード MEGA MAX(2011年製作の映画)
4.7
【ファミリーの誕生】

強固になる友情、見え隠れする恋模様、深まる絆、新たな命の誕生。過去を清算し、未来を掴み取る為に彼らはブラジルに集結する。「ゼロヨン」に生き、「新規やり直し」を繰り返し、いつの日か叶う夢の為に信念を持ち続ける。そして一番大切なのは今ここにいる仲間達。「ファミリーに」とただ一言放ち、乾杯するだけで血縁をも超えた家族となる。そしてドムは遂に「ゴッドファーザー」となり、ファミリーを爆誕させるのだ。

最初は前作『ワイルドスピード MAX』から続くドムとブライアンのバディものかと思えば、やはりそこは「MEGA」たる由縁。

警官も街の人も金に物を言わせ、リオを牛耳る投資家レイエス。

新しいパスポートと新しい人生、自由を買う為にレイエスの金を盗もうとするファミリー。

指名手配されたファミリーを追う敏腕捜査官ホブスとその一派。

単純な「善」と「悪」では割り切る事の出来ない三つ巴の構図が重厚な関係性を映し出す。1つの終着点、1つの集大成として今作は圧倒的な熱量を放っている。

まず、頭の悪いと言われるカーアクションの枠組みなど超えてしまったカーアクションは男性ホルモンが炸裂する。「あんなこといいな できたらいいな」と思っていた事を呼び覚す様な映像に思わず心が躍る。

バスガス爆発から始まり、走ってる電車から車を盗めば、リオの密集住宅地を駆け巡り、最後は国の銀行から奇想天外過ぎる方法で強盗を始める。

筋肉ハゲ同士がぶつかり合う音、金庫とコンクリートが擦れ合う音、ワイヤーが街を切り裂く音、パトカーのサイレン音、車のエンジン音、銃声、街の人の叫び声、怒りの声、悲しみの声、喜びの声、そして最後は観客がすすり泣く声を含め、壮大なオーケストラが完成する。

もうこれだけでお腹いっぱいだが、さっきも言った様に今作は「MEGA」である。

レイエスのファミリー、ドムのファミリー、ホブスのファミリーの三者三様の擬似家族を対比させ、それぞれの結末で普遍的なメッセージを伝える。今作は単なる喜劇だけではなく、悲劇でもあり、その奥底には共通する人生の真実面を表現する。

車か?
女か?
力か?
仲間か?

確かに善悪の境界線は崩壊しているが、この映画は理屈ではなく、本能のままに生きろと伝えてくる。意地の張り合い、歪んだプライドの見せびらかし合い、その先にお前は何を求めるのか?と…

犯罪を犯してしまったし、警察やFBIも裏切ってしまった。盗みもしたし、人も傷つけたし、決してそれらが良いことだとは思っていない。ありのままで好きな様に生きてきたからこそ、犯罪が蔓延し、欲望が渦巻くリオという街で、彼らが正義を見せつける生き様に我々は心を打たれるのだ。最後は小粋なスパイスとしてチョイ悪さを見せるところも『ワイルドスピード』たる由縁で良いのではないだろうか…

10年前から始まった『ワイルドスピード』シリーズを通して、観客はドムとブライアンを主とするこのファミリーを見守って来た。今作で爆誕したファミリーを見て、ただ映画の中のものとしてだけではなく、観客がファミリーの1人として参加する事となる。

「そういう事だよ!」的展開が多く、個人的にツボを押しまくられる。ロック様も参戦し、肉弾戦は増え、髪の毛は減る。程よいユーモア、度を超えたカーアクション、予測不能なストーリーに、ダースベイダー事件以来であろう衝撃のラストに刮目せよ!