1945年8月6日午前8時15分、広島に原爆が投下された。
一瞬にして8万人もの命を奪い、年末までに14万人が命を落とした。そして今日までに広島と長崎で放射能の影響に苦しみ命を落とした被爆者は50万人を超える。
原子爆弾を19歳の時に至近距離で被爆した美甘進示さん(1926〜2020)の娘、美甘章子(ミカモアキコ)さんが英語で出版したノンフィクション『8時15分 ヒロシマで生きぬいて許す心』を映画化したもの。
被爆二世の章子さんはカリフォルニア州を拠点とする臨床心理医でもある。
進示さんの壮絶な体験を幼い頃から聞いて育った章子さんは、長い時間をかけて聞き取りテープに録音して文字を起こした。英語で直接語られることがなかった原爆体験を、逆境に打ち勝つ強さと許す心の大切さをと世界に伝えている。
当時の写真も使い、進示さんと章子さんも出演するドキュメンタリーと、役者の演技で構成されている。
進示さんはその日、父、福一さんと共に建物疎開の準備をしていた、その時
「8:15 巨大な火の玉が目に入る。大きさは太陽の5倍、明るさは10倍以上、宇宙が炸裂する音。爆破による熱は地上で6000度にも達し何かもを焼き尽くした...」
物凄い火傷を負い、激痛から解放されたい一心で死を願うが、福一さんが諭すように言った
『何かをなくしたときは、何かを得るとき』
その力強い言葉だけを胸にし、支えられて懸命に前を向いて生きてきた。
かなりリアルな特殊メイクの被爆者映像は目を覆うが、何より生き残って、事業を起こし新たな家族を作り幸せに暮らして来た。
大切に育てられた章子さんは、どんな状況であれ、祖父福一さんの言葉が何よりも大切だと「許す心」「共感」というメッセージを世界に発信している。
この作品も観て知れて良かった。