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水俣曼荼羅のkyokoのレビュー・感想・評価

水俣曼荼羅(2020年製作の映画)
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372分、三部構成。てっきり8時間だと思っていて(監督自身これ以上は短くできないと言ってたし)そのモードで覚悟していたせいか、まったく長さを感じなかった。
ニュースで水俣訴訟が流れるたびに「まだ続いているのか」と思っていた自分をぶん殴りたい。2004年の関西訴訟の最高裁勝訴で初めて県や国の責任が認められ、認定方法に誤りがあったことが判明したにも関わらず、いまだ認定を受けられない人が大勢いる。ぜんぜん終わってなんかない。

裁判の道のりと共に、患者たちに焦点があたる。爆笑したり涙したり(特に生駒さんと老医師の絡みは最高だった)「人間」をとことん撮る原監督らしい場面の連続(初夜のくだりはしつこかった笑)。感覚障害は人間の文化を奪うという二宮医師の言葉には涙が止まらなかった。

官僚の「アホみたいに繰り返す」喋りは相変わらずで、苦笑が漏れた。
噴出する怒りに対して「だってボクが決めたことじゃないもの」という不満がありありと見て取れた。
でもその反面ふと思う。
裁判に勝ったら土下座されたらその怒りは収まるのだろうか。
彼らの苦しみを癒せるのはシンパシーではなくエンパシー。
天皇と対面した緒方さんの感情の変化に、本当の救いとは何なのかのヒントがあるように思った。

生前の石牟礼道子さんの姿を見ることができたのが嬉しい。
この人こそが「悶え神」