ゆめちん

ベイビー・ブローカーのゆめちんのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
ベイビー・ブローカー

"生まれてきてくれて、ありがとう"

是枝裕和が監督・脚本、ソン・ガンホ主演と言うだけで期待値が上がるが、日本の名匠と豪華韓国俳優陣がどういった化学反応を起こし "家族" を描いていくのか、上映前から非常に楽しみに。
 
クリーニング店を営む借金まみれのサンヒョンと、"赤ちゃんポスト" のある施設に勤務するドンス、その裏の顔はベイビー・ブローカーだった。ある晩二人は、若い女性ソヨンが赤ちゃんポストに預けた赤ん坊を密かに連れ去るが…。
 
多様な "家族" を描いてきた是枝監督であるが、得意なテーマにさらなる工夫を凝らして作り上げたという印象。想像していたより静かに展開し、監督の演出と脚本に安心して身を委ねながら、ゆっくりと物語に引き込まれていく。

韓国で社会問題となっている "ベイビー・ボックス" と、非合法な養子縁組ブローカーという題材を、このように温かく描き切ったのは是枝監督ならでは。韓国の豪華俳優陣の演技に魅せられつつも、日本映画的な温もりを感じさせる穏やかで心優しい作品に仕上がっている。

ガソリンスタンドで全員が水しぶきでビショ濡れになり、お互いに笑い合うシーンが印象的。赤の他人だった5人が、1つの家族になった瞬間である見事なシーンだった。
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