さうすぽー

ベイビー・ブローカーのさうすぽーのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.8
自己満足点 75点

韓国映画色が一方的に強くなるのかと思いきや、良い意味でいつもの是枝作品でした!

数々のヒューマンドラマ映画の傑作を製作してきた是枝裕和監督が初めて韓国で製作した映画。

赤ちゃんのブローカーを行っている二人が産みの母親と共に子供の貰い手を探す旅をするという、クライム要素が入ったロードムービー。

キャスト陣がソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナという、韓国映画好きなら知らない人はまずいないスター達が集結してるという。撮影監督も「パラサイト」や「流浪の月」のホン・ギョンピョ。
これだけ豊富なキャスト・スタッフに恵まれて作られた作品はやはり良いものでした!


是枝作品の好きな所は、主要人物がだらしない人物であろうと犯罪に手を染めてる人物であろうと、基本的に善人として描きます。
今作でもそうです。ソン・ガンホとカン・ドンウォン演じるブローカーの二人が悪人として描かずに自分達が好感を持てるキャラクター描写にしているのが好きでした。
また、IU(イ・ジウン)が演じた母親も憎たらしい描きかたではなく、「育てたかったけど、今の自分に育てる力が無い」という女性だったので、非常に興味深い人物でした。

映像に関しても場面ごとに常に場面ごとの人物の心情をしっかり捉えているショットで映していました。
あと思ったのが、韓国人ではない監督が撮ったからか、他の韓国映画では観られないようなショットやロケーションが観れて新鮮でした。電車に乗る場面に過去作の「奇跡」を連想させたりするなど、韓国で撮っても是枝監督は是枝作品を作ってくれたので、良い意味で変わらないし安心しました。

また、この映画はとある場面で「マグノリア」のオマージュシーンが登場します(一昨日PTAの予習で観たので、あまりに偶然過ぎてビックリw)。
ベイビー・ブローカーでは普通の関係を紡げない"親子"が登場するけど、マグノリアも良い関係性を紡げなかった親子のやり取りが描かれていました。

だからこそ、似たようなシチュエーションになる例の場面であの歌とあのシーンを引用したのかもしれません。


この映画は好きではあります。
ただ、今まで観た是枝作品の中では比較的下の順位になってしまいます。
正直所々で「惜しいなぁ」と感じてしまう場面があります。

まずは音楽。
調べたらチョン・ジェイルという「パラサイト」や「イカゲーム」の音楽の人でした。
イカゲームでも思ってたことですが、この方の音楽は少々感動を力ずくで表現してる様に思えて臭いです。

また、ラストの描写も少し微妙です。
「万引き家族」では家族6人のそれぞれの行き末(着地点)が非常に完璧で納得いくものだったのですが、この映画はそれと比べると何人か着地の仕方が中途半端で少しガッカリしました。


ふと思ったのが、是枝監督は日本でも海外でもキャストやスタッフに恵まれてる気がします。
それだけ日本でも海外でも「彼の映画に携わりたい」という人達が多いことなのでしょう。