ゆーさく

ベイビー・ブローカーのゆーさくのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

母親のソヨンにどんなドラマチックな展開があろうと、どんな良いセリフを吐こうと、
「でもアナタ赤ん坊棄てましたよね?」っていうでっかいマイナスが常に頭に残ってしまい、平等な目で彼女を観る事が出来なかった。
ポストに入れず外に置いて帰るのもすこぶる印象悪かったし。
里親候補に赤ん坊の見た目を貶された時に怒って反論するシーンも、なんか自分のこと棚に上げてる感が強くて、癪に障った。

もちろん父親(殺されたヤクザ)も非道いとは思うよ。父親の方に子どもへの責任が無いとは言わないけど、だからといってそれで母親の責任が無くなるわけじゃないから。

まぁだからこそ、キチンと幸せに育てられる里親を私自身で審査しよう、って旅に付いてくる気持ちは分からんでもないが、それでもやっぱり“棄ててる”のは変わらんよ。



交流を通して疑似家族的な絆が芽生える、っていう是枝監督がよく扱うテーマを今回もやってるわけやけど、今回は何ていうか、結構「ホンマか?」っていう疑いの方が強くなっちゃった感じする。
そんな絆が芽生える程の積み上げあったか?っていう疑い。「生まれてきてくれてありがとう」まで絆結べてたか?



ブローカー側の事を言えば、赤ん坊を誘拐して高く売り捌く、っていうこの行為。善行半分。金儲け半分。みたいな感じが俺は割とアリかな、というか、リアルやなとは思った。

やってる事は完全に悪行やねんけど、それを「赤ん坊のためにやってるんだ!善行なんや!信念があってやってるんや!」って嘯いて自分らを納得させてる感じは、まぁリアルやなと。


全体的な話の流れは何というか、最後の方にかけて疑問が大きくなっていく感じがする。登場人物たちの言動に納得出来ない点が増えていったというか。
雰囲気づくりの良さで見せ切ってはいたけど、納得は出来てない。
変に情に流された感じの話にしたからこんな歪なんかも知れん。ブローカーらが過度に人情味ある人として描写されちゃった事で。


いっそのこと全編刑事目線で進んだ方が納得度高かったんちゃうかな。

ブローカー側や母親の情感部分をあまり緻密に描写せず、悪人っぽく見せといて、いざ逮捕したら、複雑な事情が判明してブローカー側にも五分の人情が垣間見えた。。。ぐらいにしとけば納得出来たかも。
「ゴーン・ベイビー・ゴーン」みたいに。
ゆーさく

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