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私たちの青春、台湾のmhのレビュー・感想・評価

私たちの青春、台湾(2017年製作の映画)
5.0
冒頭にみんなでインターナショナルを歌うシーンがあってこの題材の複雑さに気がついてそっからはもう釘付け。(「インターナショナル」は共産主義者のうた)
国民党政権に対して(中共に同調して)の左翼思想だからというわけではなく、ここでは反体制ソングとしてのインターナショナルだったのだ。
その証拠に作中では何度も中国共産党に疑問を呈しているし、天安門事件にもがっつり触れている。
学生運動の先行例として天安門事件をみんなが踏まえているため、同じ失敗を繰り返さないよう立ち回っていると思うんだけど、会議ばっかりやっている主導者チームと、その輪に入れない賤民解放区チームで分断してしまって膠着状態に陥る。
それでも前に進んだ結果、陳為廷は国政に打って出ることなり、蔡博艺は生徒会長に立候補することになる。
振り上げた拳を落とす先として、これ以上ない結論だと思う。
そのふたりの挫折をフェードアウトしていったひまわり学生運動になぞらえている。
一躍ときのひとにまでなった陳為廷が失墜するのが、痴漢常習犯だったというのが、情けないしくだらないけど実に人間らしいのだった。
これでは話を締めくくることができないと泣き出した監督には同情を禁じ得ない。
ひまわり運動の始まりから終わりまでを、簡潔に端的に収めてあって、その盛衰を俯瞰するというとても意義のある内容でした。
いやーすごいドキュメンタリーだった。
面白かった!
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