みんと

ヒトラーに盗られたうさぎのみんとのレビュー・感想・評価

ヒトラーに盗られたうさぎ(2019年製作の映画)
3.9
ドイツのベストセラー絵本作家ジュディス・カーの自伝的作品を映画化。

ヒトラー批判の評論家でユダヤ人の父を持つ娘アンナは、ヒトラー台頭による恐怖政治から逃れるため家族で故郷ベルリンを離れ、スイス、フランス、イギリスに亡命を続ける事になる…

いわゆる親の転勤で転々と学校が変わるのとは訳が違う。国を越え言語も変わる。当然 貧困や偏見、差別が付き纏い9歳の少女の目を通して戦争の不条理が炙り出される。

子供らしくワガママも言ったり、天真爛漫さが影を潜めてゆく姿にはやはり心が痛む。けれど子供ならではの適応能力や前向きな姿が健気で救われる。決して壊れない家族の絆にもグッとくる。

劇中、何度か登場する台詞“有名な人は子供の頃苦労する” …結果的にその通りとなったのはあまりにも皮肉な事でもあり、救いでもあり希望でもあった。

けっして悲惨な戦争映画ではないけれど、家族愛や絆を通して描かれるナチスのユダヤ人迫害の残酷さは十分感じる作品だった。

あと、小さいジュリエット・ビノシュ?もしくは幼いクロエ・モレッツ?を思わせる可愛い顔立ちの主人公少女の将来性を感じた。
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