ハル

映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチのハルのレビュー・感想・評価

3.8
原作のファンなので、フラットな目線で観れていたか分からないが、漫画のまま再現されている感じで良かった。

とにかくこの作品は欧州サッカーを徹底的にリスペクトしている。
そのため、その前提知識がない場合には楽しさが半減してしまうリスクはあるものの、映画は原作よりも親しみやすいアプローチになっていたように感じる。

高度なアニメーションによってサッカーの動きをそのまま音と映像で体感できるため考え込まず、すっと頭に入ってきた。
この点はサッカーがあまり分からない人にもきちんと配慮されていた印象。

ストーリーのメインテーマは日本女子サッカーの宝になりうる才能を持つ恩田が、男子に混じってサッカーが出来なくなっていく現状を描いている。
フィジカル的な差で徐々に共にプレーすることが厳しくなっていくが、そこにどう立ち向かい道を進んでいくのか。
女子では男子に勝てないのか。
こんな疑問符が劇中から投げかけられていた。

ただ、この作品の本質はとにかく、恩田を思うチームメイトの優しさと監督の器の大きさだと思う。
その温かい心を描く繊細な描写の数々には泣かされてしまった。
主人公のただのワガママといえばそれまでの話だけど、多感な時期の学生生活・部活動では色んなことが起こる。
当然、試合を私物化するのはダメだし、失格になったら元も子もないのだが、アニメ作品ならではのこういう展開も胸が熱くなっていいのではないかなと。
それにみんな恩田が好きなんだよね。

そして、最後の試合のアニメーションは特に良くできていて、実際に存在するエラシコやルーレットなどのスキルを織り交ぜながら展開されていくスピード感ある描写は迫力そのもの。

試合後、何だかんだ人を惹き付ける魅力のある人は見ていて嬉しい気持ちになるし、恩田の魅力が溢れ出る一幕も心地良かった。

「さよなら私のクラマー」は女子サッカー×欧州サッカーの掛け算的な映画。

既存にない新しく面白いアプローチをしている良質なスポーツ作品なので、お勧め。