歌代

アイの歌声を聴かせての歌代のレビュー・感想・評価

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)
3.7
観終わった後、細かいところすっとばして「良い映画観たー!」って素直に思える後味がやけに嬉しい作品。

序盤、中盤は正直「なにを見せられてるんだろう」ってくらいありきたりな青春ドラマが続くのですが、背景のSF設定がやたら凝ってるところが興味を持続させてくれる。
やがてぼんやりしかけてきたあたりで後半は予想外な方向にトぶ!!
圧倒的なパワーにいつのまにか泣かされてた。
終盤はもうその祝福・祝祭感に拍手!
しかしその裏にある無機質な怖さみたいなものもちゃんと描いてるところは、唸りました。

終わってみるとあの前半、中盤も文字通り「みんなが幸せになる」というお話で必要不可欠なピースだったんだなと気がつきました。
"あの歌"のトリプルミーニングであったり、伏線もうまかった!

終盤のある展開「さりげなかったけどいま全AIに感情があることを肯定したよね!?」
と驚いたんだけど、あとで監督が『イヴの時間』の人と知って納得。
他のアニメ作品と比べて人間の肉体的な動きをこだわった後半のCGもその系譜だったんだなって感じました。
それを踏まえると、シオンのやけに人間味のない表情の動きや目配せがめちゃくちゃ上手いですよね。
シオンを停止した際に腹からHDD的ボックスが飛び出すんだけど、それが仕舞われる時の「ズチュッ」という肉っぽいSEが絶妙に気持ち悪くて素晴らしかったです。

後半の感動的なシークエンスは言うまでもありませんが、中盤の太陽光パネルを使った大きな仕掛けのシーンが映像的にかなりゾワっときました。
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