むらむら

ザ・スイッチのむらむらのレビュー・感想・評価

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)
5.0
「ハッピー・デス・デイ」の監督によるホラー版「君の名は。」。殺人鬼ブッチャーと女子高生ミリーが入れ替わる話。

先日観た「明日への地図を探して」に続きキャサリン・ニュートン主演。

原タイトルの「Freaky」は、母と娘が入れ替わる映画「フリーキー・フライデー」のモジりらしい(俺は未見)。キャサリン・ニュートン演じるミリー、学校では冴えない陰キャって設定なんだけど、明らかに周りの誰よりも断然可愛い。

しかも、殺人鬼の魂が乗り移った割に、大人しい。

殺し方はグログロではあるものの、体育会系アメフト野郎とかインスタパリピとか、俺ら陰キャがムカつくキャラに偏って襲うので、観てて嫌悪感がない。よっぽど、東京のマスク拒否男の方が理不尽な暴れ方してる。

体育会アメフト連中が徹底的に頭の悪いキャラクターとして描かれてるのは、陰キャの俺としては大いに評価したい部分(偉そうでスイマセン)。女とみれば誰でも口説ける、と勘違いしてる脳筋アメフト野郎は死ねばいい、と呪文唱えてる俺の願い通りの展開に、胸がスッキリする。

ちなみに、こんな脳筋連中をスラングで「ミートヘッド(肉の頭)」というらしい。アメリカの学園モノ観てるとアメフト野郎がモテまくる描写が良く出てくるが、俺は一ミリ足りとも理解できない。ゴリラ同士のぶつかり稽古を観察してて、何が楽しいんだ? って本気で疑問なのだが、どなたかアメフト部が陰キャでニートで拗らせてる俺よりモテる理由を教えて下さい。

話がズレたが、見どころは女子高生が乗り移った殺人鬼を演じる、ヴィンス・ボーンのオカマ演技。

ドゥエイン・ジョンソンと同じ身長196cmのヴィンス・ボーン、全身全霊で女子高生を熱演。165cmのキャサリン・ニュートンとは30cm以上の身長差。

ポスターでは二人がほぼ同じ身長になっているが、実際は頭一つ分、違う。日本でリメイクするならジャイアント馬場主演で是非お願いしたい(死んでるけど)。

入れ替わる前の女子高生ミリーは陰キャって設定だったのに、殺人鬼の体に乗り移った瞬間に、お転婆キャラ全開になってるが、細かいことは気にしない。

ただ、ちょっとさすがに、脚本にボコボコ空いてる穴は気になる。

特に警察の連中。ストーリーのネタバレになるので詳述は避けるが、殺人鬼が学校襲って街に潜伏してる割に、街を封鎖するわけでもなく、学校を警備するわけでもなく、通報あっても警官二人が駆けつけるだけ……って、さすがに能天気すぎないか?

さらに、殺人鬼の大事な証拠品を保管してる警察署の夜勤は、たった一名。どんだけ人手不足なのよ。今回の関係者、ほぼ全員フリーパスで警察に出入りしてるし……いまどき、深夜のコンビニでも、もうちょっと警戒してるよね? 日本の聖火リレーの無駄な警備を見習ってほしい。いや、ほしくない。

加えて、人口20人くらい? って思ってしまうくらい、街が圧倒的に狭い。観た人なら分かると思うが、いくらなんでも、警察とゲイ少年の家の距離が近すぎる。

しかも、ミリーのお姉さんが逃走中の殺人鬼に偶然出くわして、さらにミリーのお母さんの働いてるショッピングモールに偶然入っていく、って、ご都合主義にも程がある。ここは限界集落か何かですかね?

と、脚本にはアラが目立つのだが、ヴィンス・ボーンのお茶目な演技のおかげで、ホラー・コメディとしては十分楽しめる作品に仕上がってる。これ見た人は「ハッピー・デス・デイ」シリーズ(今回も目覚まし時計の音が変で最高でしたね)は観てると思うけど、「ゾンビワールドへようこそ」も最高なので、ぜひそちらも観て欲しいです!(感想だいぶ前に書きました)

いっこだけ、俺が言いたいのは、男女入れ替わりものにありがちな

「女になったキャラがお風呂に入って、オッパイやら下半身やらを観察するシーン」

が皆無だったこと。

俺、絶対そのシーンがあると確信してたのに、完全に拍子抜け。

例えて言うなら、谷村新司が出てきたのに「サライ」歌わないで帰っていった、みたいな……。期待には応えようよ。

代わりに入ってたのは、ヴィンス・ボーンに乗り移った女子高生が、男子トイレでチンコをブラブラ、便器にペチペチさせて喜ぶシーン……。

いやいや、俺が観たいの、それじゃないから! そのシーンだけ、女子高生のほうにスイッチしてほしかったです!
むらむら

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