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ザ・スイッチのblacknessfallのレビュー・感想・評価

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)
4.3
入れ替わりモノはだいたいおもしろくなるんだけどその分名作も多い。だから何気にハードル高い設定だと思う。
女子高生とおっさんが入れ替わるとか他にないパターンだよね。て声も聞くけど、実は『ホット・チック』てコメディが先に女子高生とおっさんの入れ替わりやってんだよね。
コメディ好きの友人から教えてもらったやつで、ダメなおっさんが女子高生になったら売春的なことやってお金稼ぐとか、悪趣味だがリアルな展開があっておもしろかった笑

だけに使いふるされた設定でどこまでおもしろくできるかに注目してたんだけど、これは軽々そのハードル越えたおもしろさで大満足😀

女子高生とシリアルキラーのおっさんというギャップが入れ替わりの定番ギャグ、女子高生が小汚ないおっさんの体臭や容姿に発狂しそうになるやつや、おっさんが女子高生だと気づいて思わずおっぱいを揉むとか、既視感の塊のようなギャグだけど、キャラとキャラとの距離感があるからやはり笑っちゃうんだよな。
それと、女に入った男が女体に好奇心を示す描写はよくあるけど、今回はおっさんになった女子高生が男性器に戸惑うとこを具体的に描写してる。
タマをフリフリしてこんなにフラフラすんだ、とか、蹴られて痛さを実感したり、けっこうな踏み込みようでおもしろかった笑

しかし、この映画は入れ替わりの"戸惑い"にあまり頼っていない。おもしろさを牽引するのは女子高生と母親と姉の家族の物語だったり、友達との友情や同級生との恋、などの人間ドラマ。
父親を失って歪みが出来てしまった家族関係や好意を持っていた同級生との仲が、シリアルキラーのおっさんと入れ替わることを機に好転していく感動のヒューマンドラマをホラーコメディの内に入れ込んでいる。脚本の巧みさに唸ったね!

そして『ハッピー・デス・デー』の監督らしくワン・アイディアからは考えれないぐらい物語をトリッキーに展開させていく。
今回一番すごいと思ったのは元の体に戻れるタイムリミットがあって、時間内にあるミッションをクリアしないと元に戻れなくなる設定にしたこと。
これによって緊張感が生まれてハラハラドキドキしたんだよ。このミッション・クリアのために友達とあれこれおもしろおかしく四苦八苦するシーンに笑えるだけじゃなく手に汗を握ってしまうスリルも味わえた笑
このミッション・クリア設定、『ハッピー・デス・デー2』でも巧みにやってたよね。

ホラーとしても頑張ってた。シリアルキラーが女子高生の時にパカパカ人殺すんだけど、殺し方のバリエーションもシチュエーションも豊富で工夫があったし、意外と派手に切り株描写も撮ってたんでホラーとしてのクオリティもしっかり保ってた。
ホラーファンとして嬉しいかったのは過去のスラッシャー映画のオマージュシーンがあったこと。
特にあのグサッと突き刺してからクイッと首を傾げるシーン、「おお!アレのあれじゃん🤩」てなったね。
その道の同志の皆さんなら分かるよね😏?

ホラー的な快感もたっぷりで、女子高生とシリアルキラーのおっさんが入れ替わるというバカな設定になのに胸熱なヒューマンドラマで感動もさせてくれる多層的なホラーコメディーの傑作だよ。
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