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ザ・スイッチのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)
4.7
女子高生のミリー(キャスリン・ニュートン)は、片思い中の同級生にも相手にされず、今日も憂鬱な一日をやり過ごそうとしていた。
家では夫と死別し悲しみを紛らわすかのようにアルコールに溺れる母と、警察官の姉との板挟みになり、学校では嫌がらせのターゲットにされ、我慢を強いられる毎日。
親友のナイラ(セレステ・オコナー)とジョシュ(ミーシャ・オシェロヴィッチ)と一緒にいる時間だけが、ミリーにとって僅かな慰めだった。
そんなある日の晩、アメフトの応援後に無人のグラウンドで母の迎えを待っていたミリーに、邪悪な影が忍び寄る。連続殺人鬼ブッチャー(ヴィンス・ヴォーン)が、鳴り響く雷鳴とともにミリーを呪いの短剣で突き刺す。
間一髪、命を取り留めたミリーだったが、翌朝目覚めると、ミリーとブッチャーの身体が入れ替わっていた。
女子高生姿のブッチャーが虐殺計画を進めるなか、中年男姿のミリーは24時間以内に入れ替わりを解除しなければ、一生元の身体に戻れないことを知る。
ミリーは、親友のナイラとジョシュと協力してブッチャーを捕まえて、呪いの短剣を使い入れ替わりを解除しようとする。
「ハッピー・デス・デー」でタイムリープ・サスペンスとシリアルキラー・ホラーを結び付けるという斬新なストーリーでホラーファン以外も惹きつけたクリストファー・ランドンが、今回ぶちかましたのは「おじさんシリアルキラーと地味な女子高生が入れ替わる」というティーンホラーと入れ替わりサスペンスをミックスさせる斬新なアイディアに加えて、「男性のシリアルキラーが女性たちを狙い追いかけて殺す」というシリアルキラーホラーのパターンを反転させることで、中身がシリアルキラーの女子高生が狡猾に友達のふりをして自分をいじめているスクールカースト上位の女子を冷凍庫に閉じ込めたりなど頭脳プレーやバカなフットボール部の部員を色仕掛けで次々に餌食にする狡猾さをパワフルな殺しが得意なシリアルキラーが発揮したり、おじさんシリアルキラーの体に入れ替わってミリーが片想いしているフットボール部の男子に自分の気持ちを伝えられたり男性の体のパワーの影響もあって次第に秘めた強さを発揮していくなど、性差や体や体力の違いが逆転することによる体と心の変化が絶妙に描かれ、女子高生に入れ替わったヴィンス・ヴォーンの乙女ぶりのキュートさとシリアルキラーに入れ替わったキャスリン・ニュートンのワル可愛いシリアルキラーぶりのカッコよさが面白カッコいい。
ホラー映画の中でパターン化された「マイノリティが最初に犠牲になる」を覆したり、クライマックスの2段オチは、「男性も女子も関係ない、自分の力を信じて」というセクシャルマイノリティのクリストファー・ランドンのメッセージが込められていて、ポップで痛快なスラッシャー入れ替わりホラーコメディ映画。
「わたしは、上玉」
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