イチロヲ

サンチャゴに雨が降るのイチロヲのレビュー・感想・評価

サンチャゴに雨が降る(1975年製作の映画)
3.5
チリの首都サンティアゴを活動拠点にしているフランス特派員が、前代未聞のクーデターを目の当たりにしてしまう。1973年9月11日に発生した実際の出来事「チリ・クーデター」を題材に取っている、ノンフィクション映画。

天下のアメリカ様が内政干渉することにより、チリ国内で裕福層と労働者の階級闘争が勃発。世界初の自由選挙で労働者出身のアジェンデ政権が発足するのだが、裕福層、軍部、アメリカ様が不服を唱えながら、新政権と共産主義者を武力で圧殺してくる。

本編ではクーデター発生当日から1970年の大統領選へと遡り、「どうしてこうなってしまったのか」という過程が語られる。前半ではプロパガンダ合戦、後半では軍隊と左翼の武力衝突が描かれる。

銃撃戦の着弾表現と建築物の破壊描写がイマイチ弱いが、戦車が少しずつ接近してくるときの恐怖感や、終戦間際の死屍累々とした光景は凄まじい限り。平時があたりまえになっている日本人だからこそ鑑賞すべき作品。平時でいられることの大切さがよく分かる。
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