ヨダセアSeaYoda

頭痛が痛いのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

頭痛が痛い(2020年製作の映画)
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"死にたいね…?"

【STORY】
 ライブ配信で虚無な時間を埋める鳴海と、明るく見えて憂鬱を抱え、自分の遺書を他人の家に投函しているいく。
 同級生2人の互いにしか見せない顔とその深い闇を描きつつ、いくの遺書を読んだフリージャーナリスト直樹の行動も追う。

【感想】
 "死にたい" 人はみんな、死にたいニュアンスや死にたい程度や死にたい理由は違うけど、それぞれの "死にたい" があるんだ。

 声を出すことも目を開けることも最低限のエネルギーで行なっている様なせとらえとさんの絶望すら感じさせない虚無な演技が凄い。
 演出も虚無感を後押ししていて、これ以上でも以下でもない鬱鬱としたテンポ感は観ている自分にまで憂鬱がうつってしまうほどだった。(褒めてる)

 命は人が思っているより脆い…。
 本気の"死にたい"でも、重く受け止める他人なんて殆どいない世界で、脆い命を抱えた2人の少女は互いだけが自分達をこの世に繋ぎ止める唯一のものとして支え合っていく。
 儚くても1つその関係があるだけで全てが変わる、確かな強さとその関係の大切さを感じた。

 他人は他人。そう割り切れたらどんなに楽か。他人を他人と割り切れない "いいひと" ほどやるせない、辛い思いをしている現実。
 他人を商品やテレビコンテンツのようにしか考えられない人々への嫌悪が増すと同時に、自分にもあるそんな側面を突かれた気がして身につまされた。

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観た回数:1回
直近の鑑賞:CHinemAT試写(22.05.29)
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