ごろちん

MOTHERSのごろちんのレビュー・感想・評価

MOTHERS(2020年製作の映画)
4.2
「産んでくれた母、育ててくれた母、いま一緒にいる母」

監督で次女の関麻衣子さんが自分の家族をカメラに収めた卒業制作ドキュメンタリー。

"母"という呼称は3人の女性に共通していても、実際は別々の存在。この作品は婚姻関係のある(あった)父というフィルターを通して3人の女性を撮している。監督が同性ということもあるのか、生きていくために取った3人の女性の選択や行動をカメラを通して冷静に見つめている。

この映画を観て、劇映画がドキュメンタリー映画に絶対に敵わないなと思ったことがあった。それは映像から感じる時間の重み。産みの母と初めて対面した時に長い空白期間から生じた心理的な距離と、姉の中で醸成された家族に対する気持ちはいくら名俳優でも表現出来ないのでは、と感じた。

ドキュメンタリーで自分の家族を撮るのは最終手段のようにも思えるけど、撮りたかったのは"3人の母"以上に、自分が知らない父、姉、そして何より自分自身の素直な心情だったのではないだろうか。そう思うと監督からすればある意味終わりであり始まりでもあるように思える。

「親ガチャマジ失敗だわw」とSNSでつぶやいている中高生にはとりあえず観て欲しい作品です。
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