半兵衛

しろばんばの半兵衛のレビュー・感想・評価

しろばんば(1962年製作の映画)
4.2
冒頭のしろばんば=ユキムシを追いかける子供たちを捉えた体験していないなずなのに郷愁を誘われる映像で傑作だと確信したが、その後の子供から覗いた大人の複雑な世界の怪奇さ(でも大人になるとその微妙さが理解できる)をエドワード・ヤンやホウ・シャオシェンのように丁寧に描写した物語もよく出来ていてやはり傑作であった。

主人公の複雑な家庭事情を微妙な仕草や言動や繊細に表現する脚本や演出が素晴らしい、そして似ていない主人公の母・渡辺美佐子と芦川いづみの姉妹が、ある一言で主人公同様姉妹であることを確認させる演出が見事。

そして主人公を育てる曾祖父の愛人・北林谷栄の偏屈で毒舌ななおばあちゃんぶり、憧れのお姉さん像を理想的に(でも結構勝ち気だったりおばあちゃんに負けない毒舌だったりもする)演じる芦川いづみの名演もノスタルジックなドラマを盛り上げる。

生と死が交差していくラストも好み。
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