いさましいちびのこなやぎ

シングルマンのいさましいちびのこなやぎのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
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トムフォードの「美しい男を/男を美しく、映像に閉じ込めたい」という熱意がとにかく伝わってくる一本。固定した画の色彩や色調だけを変化させる表現、主体の回想や空想の挿入の仕方などが面白い。直接的、即物的な表現を限りなく抑えてあるのに画面からこぼれる色気が凄いのは、俳優達の肉体や演技のみならず、そうした視覚イメージの積み重ねの結果かもしれない。ビターでシニカルな結末は途中から読めてしまったものの、能天気な人生再開ストーリーになるよりずっと良い。100分という尺も気に入った。