午前3時、フクロウが飛び立つ
潤んだ赤い月を見た
何もかもがあるべきようにある
あなたの口づけに誘われて
あなたの元へ飛び立つ
眠りにつくと決めた真夜中に
トム・フォードの映画は本当に美しい。
感情は一切言葉では表さない。
モノクロから陽に照らされたように色付くシーンが印象的。
孤独と葛藤を表すには最適な素晴らしい音楽。
埋まらない心の隙間を抱えながら
それでも生きている意味はあるのか?
いっそ死んでしまおうか?
そんな孤独と葛藤の末に。
心を決めた時にはもう手遅れだとでも言うような、あらかじめ結末が決められていたような。
どちらにせよ、何もかもがあるべきようにあるのだから最後は微笑んで。
観終わった後、怖い夢を見て真夜中に目が覚めてしまったような感覚になり涙が止まらなくなった。
真夜中にひとり怖い夢を見る孤独と、
これは夢なのだと目が醒めた安心感。
とても冷たくてとてもあたたかいのだ。
まさにそんな映画。
真冬の夜の海に飛び込む2人は、
とても楽しそうだった。
冷たい海を泳いであたたかな世界へ。