KANA

シングルマンのKANAのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
3.9

Filmarks始める前に一度観てるけど改めて鑑賞。

トム・フォードの美学が詰め込まれた彼の映画初監督作品。

不慮の事故で恋人に先立たれて以来、鬱々と過ごしてきた男がついに自殺しようと決めた日の出来事。
まぁこれは全体のプロットよりも瞬間瞬間の機微を感じ取るのを堪能する映画かな、と思う。

コリン・ファースの悲哀に満ち、無口な佇まいにキュン。
彼は数々の作品でリュクスなスーツを素敵に着こなしているけど、中でも本作が一番色気を醸し出してると思う。
こんな教授の授業取ってたら100%恋に落ちてるだろうなぁ笑

コリンのみならず、画面の隅々までもがシックにスタイリングされててうっとり。
重厚感がありつつミニマルなインテリアも
グルーミーな色調の中で登場する美男たちの輝く瞳の揺らめきも。(特にニコラス・ホルト)

何かの映画のレビューで「過去にしがみつく男性はキライ」みたいなことを書いた覚えがあるけど、このジョージ(コリン)の落ち着いた所作や哲学的な台詞はウジウジどころか美すら感じてしまう。
たぶん細か〜いところまでこだわり抜いたトム・フォードによる演技指導があったんだろうな…
陰鬱さに陶酔しきってる感。
さすが、窮地に陥ってたGUCCIを見事に復活させた天才的デザイナーだけある!
終盤ちょっと上げといて下げる結末の不条理さ。
個人的には『ノクターナル〜』よりも、一貫して"TOMFORD"な世界観のこちらがより好き。
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