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ポプランのDickのネタバレレビュー・内容・結末

ポプラン(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

❶『カメラを止めるな!(2018)』で大ブレイク、31億円の興収を叩き出し、映画業界に旋風を巻き起こした上田慎一郎監督(1984年生れ)が、10年前から温めていたという自身のアイデアを実現させた奇想天外なコメディ。

❷漫画配信で成功を収め、マスコミの寵児となった主人公の田上達也(皆川暢二)は、その過程で色んなものを捨て去り、いつしか傲慢な男になっていた。そんなある日、達也は自分のペニスが消えてしまったことに気づく。驚愕した達也は、同じ悩みを持つ人々が集う「ポプランの会」の存在を知る。そして、自我に目覚めて逃げ出したペニス「ポプラン」が時速200キロで飛びまわり、6日以内に捕まえないと元には戻らないと教えられる。達也は、「ポプランの居場所は自分自身が知っている」との言葉を頼りに、その行方を追って自らの人生を振り返る旅に出る…。

◆◆◆以下にマイナーなネタバレがあります。こだわりのある方は下記❸~❼をスキップして下さい。


❸主人公達也がペニスを失い、それを取り戻すまでの出来事が「Day 1」から「Day 6」に区分して描かれる。

❹相性:上。

❺時代は現代、舞台は達也の会社のある東京と、実家のある神奈川県三浦市。

❻「ポプラン」が現れるのは、自身の過去に関連のある場所に限定されるので、そこを訪ねる達也は、自分の過去と向き合い、これまでに切り捨ててきた大切な人と再会を果たしていく。共同創業者、離婚した元妻と娘、両親等。それは達也の自分探しの旅だったのだ。

❼ペニスが元の鞘に収まり、久しぶりに出社した達也に彼の手足だった秘書が驚く。達也は、それまでのビジネス本位のクールなキャラから、気配りのある人間らしいキャラに変わっていたのである。
★いささか出来すぎのきらいはありますが、目出度し目出度しのハッピーエンドでございます。まずはお楽しみ様でした(笑)。

❽トリビア1:ペニスをテーマにした映画と小説
①映画:『Percy(1971英)』 監督:ラルフ・トーマス。日本未公開。1972年バンコクで英語版を鑑賞。75点。
★事故でペニスを損傷した主人公が、世界初のペニス移植手術を受け、そのドナーを女性器とのコンタクト具合から探る話。

②映画:『メビウス(2013・韓国)』 監督・脚本:キム・ギドク。2014/12公開・鑑賞:80点。
★父の浮気が発覚し嫉妬に狂った母は息子の性器を切断。父は自分のペニスを息子に移植させるが・・・家族は破滅へと向かっていく。

③小説:『親指Pの修業時代(1993)』 著者:松浦理英子
★ある日、主人公の女子大生の右足の親指がペニスに変身していた。排泄機能はないが、刺激を与えれば性的な反応をする・・・。

➒トリビア2:世界初のペニスの移植手術(実際)
①1987年、世界初のペニス移植手術がバンコク警察病院で行われ無事成功した。手術は超微技術により7時間かけて実施された。数ヶ月後に男性機能が正常に働く。
②レシピエントは23歳のタイ海兵隊コヴィット二等兵。
③ドナーは性転換を希望する匿名の男性。

❿トリビア3:タイにおける性別適合手術
①日本で年末年始にかけて公開されたデンマーク映画『パーフェクト・ノーマル・ファミリー(2020デンマーク)』では、10代の姉妹のパパがLGBTで、タイで性別適合手術(ペニスを切除し、人工の膣を作る)を受けて女性になるエピソードがある。
②タイの社会はLGBTに寛容で、男女の性転換手術が数多く行われていて、その水準は世界トップと言われている。このデンマーク映画のように、タイで手術を受ける人は、日本も含めて沢山いるようである。
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