カツマ

ラブ&モンスターズのカツマのレビュー・感想・評価

ラブ&モンスターズ(2020年製作の映画)
4.0
恐怖が蔓延する世界。人間は搾取する側からされる側へと転落し、たくさんの愛が引き離された。見えるのは終わりの始まりか、防空壕の中で人類は死に絶えるのか。絶望しか見えない世の中で、たった一つの希望を求め、彼は行く。青き恋情の先で待つ眩ゆい光とは果たして何か。これはただのモンスター映画ではない。愛を求め、自分を探す。成長と青春の物語なのである。

Netflixが送るモンスターアドベンチャームービーは、優しくて少しヘタレの主人公が、ボロボロになった世界の中で強く生きていく物語である。主演には『メイズランナー』シリーズのディラン・オブライエン。共演には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでお馴染み、マイケル・ルーカーらを揃え、モンスターに侵食された新世界の冒険譚をハラハラドキドキのロードムービーとして描き出す。そこにあるのはゲームのような世界観とシンプルなテーマ。正にタイトルまんまの映画であることが、観終わった後、爽やかに実感することができた。

〜あらすじ〜

7年前、人類が食物連鎖の頂点に立っていた時代は終わりを迎えた。昆虫たちはモンスターへと変身し、人間を駆逐し、結果として人類のほとんどが死滅した。
生き残った青年ジョエルは7年間の間、数人の仲間たちと共に防空壕の中で過ごしてきた。彼の心の片隅にはいつも生き別れになった恋人のエイミーの姿があって、彼女と再び会うことを拠り所として生き続けていた。
そんなある日、ジョエルは修理した無線を伝って、エイミーがまだ生きていることを知る。だが、彼女が生活する防空壕は135キロも先、外はモンスターだらけ。気が弱く、モンスターとの戦いにも不向きなジョエルだが、一念発起して遠く離れたエイミーの元へと旅立つことを決意する。仲間たちに見送られ、防空壕を出発したジョエルだが、早速、巨大な蛙のモンスターに見つかってしまい・・。

〜見どころと感想〜

この映画はモンスターパニック映画、というよりも冒険映画と呼んだ方がいいと思う。主人公は住処を出発し、仲間に出会い、そして、襲いくるモンスターを倒したり、避けたりしながら目的の場所へと向かう。冒険の途中で出会うボーイという名前の犬がキープレイヤーになっていて、実は良質なワンコムービーでもある。死んでほしくない人が安易に死んだりしないため、比較的安心して見ていられる点もポイントが高い。スーパーマリオブラザーズのように恋人を救うための旅に出て、ドラクエのようにモンスターを倒していく。テレビゲームのような世界観にも非常に愛着が持てた。

主演のディラン・オブライエンは、ヘタレキャラに上手くフィットしていて、成長していく主人公を凛々しく演じている。マイケル・ルーカーと共に登場してくる子役のアリアナ・グリーンブラットは、『アベンジャーズ・インフィニティ・ウォー』でガモーラの子供時代を演じたあの子で、今後もその成長を別の作品で見守ることができるかもしれない。

最初は元恋人への一方的な愛に燃えていた主人公が、現実の重みを知り、様々な出会いを経験し、それらを踏み越えていく物語。シンプル・イズ・ベストなアドベンチャー映画となっているため、短い体感時間で鑑賞することができるだろう。モンスターの不気味な造形といい、原始時代のようなディストピア感といい、その世界観も非常に魅力的なため、まだまだ単発で終わるには勿体ほどのクオリティに感じた。ジョエルと仲間たちの冒険はまだまだ始まったばかりで、その道程は蜃気楼のように果てを見せてはいないのだから。

〜あとがき〜

Netflixで配信がスタートしたモンスターアドベンチャー映画ですが、評判通りの良作で、最後まで楽しく観ることができました。『ゾンビランド』のようなコメディ要素もあって、悲劇的な設定ながら、悲壮感は無し。どこか楽観的な雰囲気が魅力的な作品でした。

最初はヘタレのジョエルですが、強くはないのに頑張って戦い続ける彼を見て、いつの間にか全力で応援してしまっている自分がいましたね。
もしかして続編もあるかも?と思わせるラストだったと思いますが、どうなるかな、、?(笑)
カツマ

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