Yoshishun

突然失礼致します!のYoshishunのレビュー・感想・評価

突然失礼致します!(2020年製作の映画)
-
※今回のレビューについてかなり個人的な話が含まれていますが、あらかじめご了承ください。



今YouTubeで密かに話題になり、全国メディアにも取り上げられている作品がある。

その作品とは、『突然失礼致します!』である。

コロナ禍の中、今の大学生たちが協同で製作した約3時間にも及ぶオムニバス作品。各1分×約190本ものショートショートの詰め合わせともいえる本作は、例えばコロナの影響で屋外ロケが難しかったり、参加者全員が集まっての撮影が厳しかったりなど、自由に生き生きと映像製作というものを制限されてしまった若者たちの協奏曲である。ドラマ、青春、ホラー、ファンタジー、MV、コメディと様々なジャンルを通して、今を楽しく生きていく力強さと、希望を描いていく。

今回私が鑑賞に至ったのは、私が今年3月まで通っていた大学のサークルの後輩が製作に参加していたためである。近況を伺ってみると、やはりコロナの影響で思うような製作活動ができていないようであった。しかも、現役生が唯一一般向けに作品を上映する文化祭も今年は中止に追い込まれてしまった。入部して3年間、現役引退して1年と、毎年11月はこの文化祭での上映を楽しみにしていただけに、今回の中止は非常に残念でならなかった。

だからこそ、本作の製作参加校に母校の名があったときは、かなり嬉しかった。現地での一般上映よりも多くの人々が観ることができるからだ。このような形で映像製作というサークルが知られていってほしいと切に願う。さらにいうと、これを機に他の大学の作品をこうして一気に鑑賞できるという楽しさもあった。地元では主に母校ともう一ヶ所の作品しか観ていなかった。

鑑賞直後は、「あぁ、俺もまた何か作りたいよ。」と思えた。まだまだ作りたいものがあったんだ。卒業製作まで作ったけどまだ足りない。まだ映像化したい脚本があったんだ。あぁ作りたい。


……落ち着いたところで、最後に特に印象に残った13本をご紹介。

①T.O 中尉の行方
この安っぽさが心地良い。人形劇ならでは。

②防犯カメラはカメラのカメダ
アイデアと撮影手法がかなり面白い。

③Peep Show
昔のサイレント映画的娯楽性たっぷり。『大列車強盗』のオマージュ?

④私のアオイトリ
マスクの使い方が斬新すぎる。

⑤希望小売価格
地元愛も忘れない、コミカルさが好き。

⑥おてだま三姉妹
カット割りが上手い。

⑦三者三洋
タイトルのうまさ、そして演者の器用さ。

⑧ほんまの話はあの話
大林宣彦を彷彿とさせる不可思議トリップ。

⑨Hanging out with...
不穏な雰囲気と軽快な音楽のミスマッチが素晴らしい。

⑩東京駅前の景色
リュミエールにオマージュを捧げたようなどこか懐かしい風景

⑪模索
これからも色んな希望見つけていってね。応援してます。
Yoshishun

Yoshishun