NHKでの放送を観ていなかったので、映画は必ず観ようと思っていた。日本でも原爆開発がされていたこと、ちゃんとは知らなかったなぁ･･･ただ日本が開発に成功しなくて良かったとは、しみじみ思った。
仲間が戦地でどんどんと死んでいく中、ただ実験に明け暮れる日々の学生たち。それも失敗の連続で成功には至れない。研究室の者達が抱える無力感や葛藤が、痛々しくて哀しくてしょうがなかった。
前線での戦いから一時帰郷した裕之。戦地での事は語らず、明るく笑顔をみせるその胸中に抱える恐怖心や葛藤･･･。海へと足を向けた裕之のその姿が、戦地での凄絶な経験を雄弁に語っていて、辛かった。
戦地に行った者も行けなかった者も、自分だけ死なないわけにはいかない、と思い苦しんでいることにもうどう言葉を向けたら良いのか。そんな中で、戦争が終わった後のことを力強く語る世津には救われた。生きることが恥ずべきことであってはならないと思う。だから、どんなやり方であろうと学生を守り通した荒勝教授のことを、単純に非難は出来ないなと思った。
科学が人類を超え続けた先にあるもの、それが明るいものだとは私には思えないな･･･と思いながら映画を観終えた。
#75_2021
