逆鱗

シカゴ7裁判の逆鱗のレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.0
国家権力はシロもクロにできるほど強大
そして権力は必ず腐るという、だからシロをクロにするヤツらが生じる
でも、自浄作用が働く仕組みがあると、腐った権力は排除される

約20年間続いたベトナム戦争
アメリカは約15年関与して58000人の戦死者を出した
共産主義がドミノ式に広がる恐れがあるというドミノ理論を阻止するという大義名分?のため派兵
泥沼化する戦争にアメリカ国内では厭戦気分が高まり劇中のような反戦運動が勃発
しかも劇中の反戦運動家は共謀なんて全くしていない、足並み揃わない仲間でもない連中であるが、共謀して暴力的なデモをやったと罪を問われている。
(ベトナム戦争の背景には日本の敗戦も絡んでいるので、何気に完全に他人事ではない戦争である)

この辺りの背景を把握して観賞しないと、日本という戦争を放棄した国に育った我々には我が事に置き換え難い状況(BLMの文脈で注目される一面も重要だが、社会に蔓延するダレトクで戦争やってんだよという厭戦気分がベース)

劇中の判事はまさに腐った権力だが、控訴審では無罪になり、判事も不適切と認められ、きちんと自浄作用が働いている

でもその過程で色々な人の人生が破壊され、ブラックパンサーの幹部にように命を落とす者もいたことを忘れてはならない

また、こういったアメリカ社会の恥部を映画化することができるアメリカ社会の自浄作用も素晴らしい

ただ、一方で未だ黒人差別が続くというアメリカ社会の闇もある
(猿ぐつわかませて椅子に縛りつけるって、あの判事はしょーもないな!)

理不尽なことやおかしいことには、非暴力できっちりNOと言わないと何も変わらないことを改めて噛み締めた

以下蛇足
最近の日本では大阪市廃止構想がギリギリで廃案になった
これは、マスメディアは大阪都構想と煽り、東京都のようなメガロポリスができるようなイメージ操作甚だしい状況だったのを、WEBの力で徐々に真実を浸透させた識者や政治家などがおられて、それに反応した市民がおり、しっかり票で示したからである
あの構想は本当にやり方がイマイチ
大阪府のために大阪市を解体するから、それの賛否を問うとストレートにやっているなら公平かなと思う
権力が腐った一例に、大阪市民がしっかりと反撃した好例である(元大阪市民として大注目でした)
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