柊

シカゴ7裁判の柊のレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.0
朝8時30分からの一回しか上映してない。こんなきつい時間帯だけど、見逃した作品だったから頑張った…でもやっぱり早すぎるよ。朝っぱらから観るには頭がまだ働いていない。
故に前半名前と顔が一致しなくて悪戦苦闘。登場人物も少なくない。その内脳内で、この人はもう記憶してなくていいとか、勝手に選別した。笑

久しぶりにスカッとする法廷作品。クライマックスに向かって徐々にボルテージ上がっていく。後味のいい作品でした。まぁ実在の人物なので、その後の人生をエンドロールでちょっと触れていて、なかなか重いなっても思ったけど、この作品の中ではみんな悔いなく闘いきっていた。全然勝利ではないけど…

権力が暴力を振るう作品を観るたびに思う事。それは警察機構は決して国民を守る為に存在しているのではないと言う事実。国家を守る為に存在する。故に命令があれば容赦なく国民を叩きのめす。丸腰の市民に容赦なく銃を向けられるのは、己の判断で動いているのではなく、権力に操られているから。そしてそれが警察と言う機構の根本なのだろう。どこの国でもたいして違いはあるまい。
そしていとも簡単に邪魔な市民を罪人にしていく。何とも恐ろしい。何でもかんでも裁判で解決するアメリカであっても、法の下に平等は存在していない。それでも「世界が見ている」この言葉の意味は今に至っても、いや今だからこそ大事。
世界は理不尽な事に目をつぶってはいけない。

アメリカ映画は基本強くて、みんなの憧れるアメリカが描かれている作品が多く、そんな作品が大手を振って日本でもありがたく公開される。殺し文句は 全米が泣いた!笑
でもたまにこういう何者にも忖度してないような味のある作品を作り出す。こういう作品に触れると、自由の国アメリカの懐の深さや拝金主義者ばかりではないアメリカの良心を感じて、みんなが強いアメリカが好きな訳ではないんだなとある意味当たり前のことなんだけど安堵する。

アメリカっていつまで世界の覇者を気取っていられるのだろう。でも私の生きているうちには終焉はこないかな…

出演者みんな凄く良かった。熱くて若い者も権力者の狡猾さもそれぞれがそれぞれの立場で熱演。まさに役者魂。
最初、弁護士のヘアスタイルがどうにもカツラ感が強くて、気になったけどあまりの素晴らしき人物像にもう忘れました。

最後ベトナム戦死者の名前は読むところはフィクションと知り、ちょっと寂しさを感じた。あれが本当のことだったらさすがアメリカ!と思ったと思う。笑

とても骨太な作品。冒頭愚痴ったけど、朝早よから観て良かった。
柊