富樫鉄火

シカゴ7裁判の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
5.0
度肝を抜かれる面白さだった!
年末近くなって、これほどの映画が、宣伝皆無で登場したことにも驚いた(ネトフリ映画につき、配信直前の、宣伝をかねた一部劇場公開だったみたい)。
しかも、あたしのような還暦過ぎのロック好き人間には、涙もの。
物語が、ロックバンド「シカゴ」のデビューアルバム『シカゴの軌跡』内の、《1968年8月29日シカゴ、民主党大会》《流血の日》で、とことんおなじみの題材・フレーズ(世界が見てるぞ!)なので、たいへん身近な話で、わかりやすかった。
この種の「反体制民衆ヒーロー」ものは、つい、説教調になりがちだが、無理にドキュメント映像や、当時の音楽(それこそシカゴとか)を、ほとんど使用せず、あくまで、いまの感覚で描いたところが、すごい。
特にアヴァンタイトル(タイトル前)は、演出編集が、まことに見事。
日本でも、近年、この種の「政権批判暴露」映画があったが、レベルがちがいすぎて、恥ずかしくなる。
おそらく、若い方は、時代設定の細部がわからないと思う。
しかし、還暦以上で、当時のベトナム戦争とアメリカの状況に興味があった方なら、脳天をぶん殴られるような感動を得られると思う。
わたしたちは、シカゴ7のように、生きたかったのです。
絶大お薦めです。
富樫鉄火

富樫鉄火