ゆきまる

天外者のゆきまるのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
3.0
脚本演出⭐︎1.0
演技⭐︎5.0
総合は、平均値で⭐︎3.0

予告編の「俺についてこいぃ!!」を見て

カッコイィィィ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
となり、観賞にいってきました。

がしかし、脚本に難あり。
青春群像劇ベースで、五代友厚の半生を描くのはいいのですが、男4人の友情と、遊女はるとの交流に重きが置かれすぎて、五代氏の功績が不明瞭。彼が思い描いた『皆が夢を見られる世の中』がどのようなものなのか、またそれを達成するために何をしたのか、具体的なものが何も伝わってこない。
中高生向けの邦画、ドラマにありがちなくさい演出が随所にあって、赤面したくなる。

森川葵は素晴らしかったけど、遊女はるはいらないと思う。
日本の近代化以前の男女不平等な世界を体現する存在として必要だったのかも知れないけど、日本で女性に参政権が認められたのは、戦後でこの時代の何十年も後のこと。
また五代は、イギリスから帰国後、かの地は男女平等で言論の自由があるなどと言っていたけれど、19世紀のイギリスだって、深刻な経済格差があって、労働者始め女性の権利は保証されていなかった。

そのへんの時代考証が甘いのと、具体的なメッセージ性がないので、作品としては弱いと言わざるを得ない。他の方も言ってるけれど、大河ドラマとかでがっぷり4つに組んでほしい題材だった。

それでも、俳優陣の演技は手放しに素晴らしかった。(ただし外国人は軒並み棒。あと、英語ナレーションは誰がしたんだろう?なんか聞いたことない訛りで、英語ネイティブじゃないのかな?と思った。)


西川貴教と三浦翔平がすっごくハマってたし、女性陣も盤石な演技。特に蓮佛美沙子は出演時間が短いけれど、確かに存在感のある妻だった。遊女との交流より、妻の内助の功を描いた方が良かったんじゃないかな。

そして三浦春馬。今までいろんな出演作をみさせてもらったけれど、天外者では、ただならぬ覚悟と気迫を感じた、渾身の熱演。武士時代もかっこよかったけれど、髷を切ってから、実業家に転身したあとの、凛々しくて精悍な佇まい。泣きの演技が抜群に良かった。胸を掴まれるような、感情表現。本当に三浦春馬は、緻密な演技をするなぁと思う。
そして、最後の演説シーンは、鳥肌が立った。まさに全身全霊、彼の生き様そのものじゃないだろうか。

(このシーンも意外とすぐに場面が切り替わってしまい残念。)

地位か名誉か金か、いや大切なのは目的だ。

この言葉が最後に私の胸の中でずっとこだましている。五代友厚のように、大いなる野望を持って、目的を果たせる人生にしたいなと思わされた。

酷評したけど、前向きになれるいい映画ではある。