ゆきまる

天外者のゆきまるのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
3.0
脚本演出⭐︎1.0
演技⭐︎5.0
総合は、平均値で⭐︎3.0

予告編の五代友厚(三浦春馬)の「俺についてこいぃ!!」を見て

カッコイィィィ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
となり、観賞。

でも時代劇として非常にチープな作品だった。青春群像劇ベースで、遊女との交流や友情といった人間ドラマに重きが置かれすぎで、肝心の五代氏の功績が不明瞭。氏は『皆が夢を見られる世の中』を熱く語り奔走するが、それがどのようなものなのか、また一体何をしたのか、具体性が欠けるのが致命的で絶望的。

2時間で幕末から明治維新までの激動の時代を駆け抜けた偉人の人生を描くなら、遊女はるみたいなフィクションいれる前に、もっと語るべき出来事があるだろうよ…

他にも時代考証の甘さ、中高生向けの恋愛ドラマのようなクサい演出、ショボいCGと映画音楽がいちいち残念。俳優陣は熱演しているだけに、ほんとに落胆させられる。
西川貴教と三浦翔平は役にハマってたし、女性陣も盤石な演技。特に蓮佛美沙子は出演時間が短いけれど、確かに存在感のある妻だった。

そして三浦春馬。出演者でただひとり、並々ならぬ熱意を持って演じているのがわかる。気迫のこもった迫真の演技が粗雑な演出と脚本を持ってしても光り輝いている。武士時代もかっこよかったけれど、髷を切ってから、実業家に転身したあとの、凛々しくて精悍な佇まい。胸を掴まれるような、泣きの演技。三浦春馬は、本当に緻密で繊細な演技をするなぁと思う。そして、最後の演説シーンは、鳥肌が立った。まさに全身全霊、彼の生き様そのものだろう。

「地位か名誉か金か、いや大切なのは目的だ」

とう言葉が最後に私の胸の中でずっとこだましている。五代友厚のように、大いなる野望を持って、目的を果たせる人生にしたいなと思わされた。

酷評したけど、前向きになれるという意味で、いい映画ではある。
ゆきまる

ゆきまる