ShojiIkura

天外者のShojiIkuraのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
3.4
 幕末~明治初頭にこんな人物もいた、ということにスポットを当て、かつ俳優・三浦春馬の遺作となった映画。友厚が異端児だったにせよ、薩摩藩内でも長崎でも、追いかけ回されるほど狙われた理由がよくわからない。竜馬のように、世の中を変えようと具体的に動いていたわけではなく、空気を読まずズバズバ自分が思ったことを言う人というだけだったような気がするが…。イギリスとの交渉で薩摩を売ったと思われた、ということ?遊女の力添えで釈放されたのがけしからん!生きて帰るな!ということ?
 さらに新政府の役人として嫌われたのはなんとなくわかるが、民に下ってからも嫌われてたのは、何やら私腹を肥やしていたと攻められてたけど、亡くなる際は借金しかなかったというし、「嫌われぶり」が腑に落ちないことがずっとだったので、最後の通夜の際の行列が、逆に何で?と思ってしまった。
 つまりは「実はいい人だった」を示す、遊女をかばって誰もが夢を見れる国を作る、と語る部分が強調されて、嫌われたり「異端」と思われたりする要素が薄れてしまったのかな…。
 しかしながら友厚のその、「誰もが夢を見れる国」という理想や、大切なのは目的を持つこと、という訓示は不変の言葉として心に刺さった。
 そして何より春馬くんの熱演!最後のメイキング映像でも現場に溶け込んでいた雰囲気だったので、あらためて自死は違和感しかないよ…ご冥福を祈ります。
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