このレビューはネタバレを含みます
息子の里親を探す、シングルファザーの話。
主人公は不治の病に冒されたシングルファザー。
身寄りのない息子の為に、里親を探す姿が描かれます。
里親といっても、いろんなタイプがいて、お金持ち家庭もあれば、既に養子を引き取っている家庭もあったりして、どこも一長一短な感じ。
そもそも里親に正解があるわけでもないので、「どの里親に預けるべきか?」と主人公と一緒になって悩むべき作品なのでしょう。
監督が「感傷的な演出は抑えた」とインタビューで答えていましたが、確かに、難病系のヒューマンドラマにしては過剰な泣かせ演出もなく、淡々と進んでいく作品でしたね。
主人公も無口なタイプなのですが、ふとした瞬間に幸せそうな家族を見ては落ち込んだり、不意に母親の事を触れられては傷ついたりと、彼の心情を想像させる作りが上手いなと。
口数は少なくとも、映画自体は多弁で、自然と主人公に感情移入させられます。
最終的に、主人公は独り身の女性を里親に決めるわけですが、シングルファザーとして生きてきた彼だからこそ、シンパシーを抱いたのかもしれないし、自分がそうであった様に、お金や環境よりも息子1人に愛情を注いでくれる人間を選んだのかもしれません。
「難病×子供」と聞くと、如何にも、お涙頂戴な座組ではありますが、前述した様に意外とカラっとした作りだし、上映時間も95分とコンパクト。
あらすじを聞いて躊躇してしまう人もいると思いますが、そこまで重たい作品ではないので、気軽に見て欲しいなと思います。