えふい

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話のえふいのレビュー・感想・評価

4.0
1話・2話と新機軸で「ガルパン」の可能性を披露しながらも、折り返し地点で展開を想定の範囲内に「置き」にきたという印象。そのためこれまでに比してカタルシスは希薄。
しかしながら、"音"で魅せるアニメ映画の魁たる貫禄は変わらず、1時間に満たない上映時間ながらヘタな2時間級のそれよりも鑑賞後の満足感は上。
来たるべき大黒柱の戦線離脱をついに迎え、大洗女子学園はいかなる奮闘を見せるのか?唯一無二の、見逃せないタイトルであることには相違あるまい。これからも長い付き合いになりそうである。

【以下追記。トーナメント結果についてのネタバレあり】





ガルパン世界において、ジャイアントキリングは極めて稀な事象である。なぜなら本作は、戦車戦の裏側に見え隠れする戦争の血なまぐささを糊塗するために、その徹底的な戯画化を試みているからである。例えば「戦車道」や「特殊なカーボン(=死の排斥)」に代表される世界観設定であったり、ドラマ性の極力排除された脚本がそうだ。ゆえに成長がすなわち勝利には結びつかない意外なシビアさがあり、だから知波単の敗北をどこか間の抜けた油断に頼って描くしかなかった。戦力的には作中屈指であるはずのサンダースやコメディリリーフたるアンツィオも同様で、およそファンの多数派の予想通りに試合は進んでいく。これも音響演出と同様、ガルパンの持つ唯一無二性であろう。
ガルパンがガルパンたりうるための桎梏を理解こそすれど、こうもキャラクターが大所帯となってはもっと各々の活躍を目の当たりにしたいとねだってしまうのが、偽らざるファン心理だ。それゆえ第3話は、これまでほど曇りのない高評価はできずにいる。
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