Inagaquilala

きまじめ楽隊のぼんやり戦争のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
戦争と音楽を対比させながら、不思議な物語が進んでいく。登場人物はいずれも定規で図ったような動きをして、セリフ回しもことさら感情を抑え、全体的にオフビートな感じで、川を挟んで対岸の町と戦争を続けている、ある町の様子が描かれていく。海外の映画祭で高い評価を得ている池田暁監督の長編第4作らしいが、自分的には初めて観る彼の作品なので、なかなか新鮮に映った。

別役実あたりの不条理劇を観ている感じもして、映画というよりは演劇に近いのではないかという印象は持った。この作品自体が、映像的な試みと言われればそれまでなのだが、愉しみはやや演劇に感じるそれで、もう少し映像を動かしていくやり方もあるのではないかとも感じた。音楽はヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」の旋律がキーポイントとなるものになっているが、あまり似つかわしくはないのではないかと思った。人によって好悪がはっきりする作品だとは思うが、自分としては楽しく観られたことは付け加えておきたい。
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