磨

きまじめ楽隊のぼんやり戦争の磨のレビュー・感想・評価

2.9
一本の川を挟んだ全く知らない隣町を相手に、毎日朝9時から夕方5時まで規則正しく戦争をしている二つの町。
シュールなコメディだが、死や怪我は現実でリアルに人が亡くなり体の一部も無くなったりする。それでも無個性に生きる人々は戦争の残酷さを映し出し痛烈に風刺し皮肉っている。考えることをしない住民、姿の見えない相手に対し「敵は恐ろしいから恐ろしいことをする」という思考は現代のSNS等に通ずる問題とも言える。

寓話的に描き出すストーリーで、テーマは面白く奇をてらった作り方もなかなか斬新。おそらく、刺さる人には思いっきり刺さる。…が、合わない人は全く合わない。そんな映画だと思う。

残念ながら個人的には圧倒的に後者。
上手い役者が演じる低レベルな学芸会に中盤前に完全に興醒め。爆睡も視野に入れたほどだったが、どこからかイビキが聞こえてきた為、ああなるもんかと気合を入れ直した(笑)
テーマには高得点を差し上げたいが、映画そのものが徹底的に合わなかった。自分のような人間は“きまじめ”に観ると損をするし、“ぼんやり”と観ると心地よい睡眠に誘われる作品。狙いすぎも考えものかと…。

作中、メインキャストである今野浩喜に「そこに、愛はあるんか?」とずっと言いたかった(笑)
磨