けんぼー

サマーフィルムにのってのけんぼーのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
4.2
2021年鑑賞90本目。
青春、時代劇、恋愛、SF、友情が入り混じる「映画作り」の映画。
ラストカットが最高!!!

冴えない高校映画部員の「ハダシ」が仲間と共に時代劇映画を作る一夏の物語。そこにSF的要素も入ってきて、今まで見た事がない青春映画になってます。

まず、主人公「ハダシ」、その親友の「ビート板」と「ブルーハワイ」という、登場人物のあだ名の時点でもう「青春の夏」感が満載。「ハダシ」は本名という設定らしいですが。すごい名前やな。

そんなハダシが同じ映画部員で超陽キャのみんなの人気者「花鈴」が作るキュンキュンものの青春恋愛映画に対抗するため、親友の二人に加えて、校内の超個性的なメンバーを集めて映画作りに挑む。そしてその作品を作る決意をした理由は「凛太郎」という謎の青年との出会い。
そんな「ハダシ組」のみんなとの友情物語でもあり、青春感がさらに高まります。

そして青春映画には欠かせない「恋愛」要素もちゃんとある。ハダシは凛太郎に次第に恋心を抱いていくのですが、凛太郎にはある秘密があって。。。。。

映画作りというわかりやすい目標に向かって進んでいくのでとてもテンポが良いですし、個々のメンバーの話を掘り下げすぎず、掘り下げるべきところはちゃんと掘り下げて、というバランス感覚も見事。

今年は「映画大好きポンポさん」も映画作りの映画として、とても素晴らしい作品でしたが、同じ年にもう一本このような作品に出会えるとは。

青春映画ではあるんですけど、おっさんの僕が見ても十分アツくなれるし感動しました。

また、現在の日本映画界を象徴するようなキュンキュン邦画の代表的な立ち位置、権化的な感じで登場する花鈴が一応ハダシのライバル的存在なのですが、その花鈴も良い奴だし、キュンキュン系映画に否定的だったハダシがそれによって背中を押される部分もあって、僕自身近年のキュンキュン系邦画が苦手な人なのですが、「そういう作品にも良さや役割もあるよなあ」と思えるようになりました。

映画作り自体のワクワクに加えて、「どんな映画でも映画は素晴らしいじゃん」と思わせてくれる、映画好きにはたまらないこの夏一押しの超青春映画でした。

なんといってもラストカットは特に最高で、今でもずっと目に焼き付いてます。邦画の中では個人的に今まで見た作品の中で一番のカット、終わり方でした。
これは毎年夏に見たい作品ですわ。

2021/8/10鑑賞