このレビューはネタバレを含みます
勝新を敬愛する時代劇オタクの女子高生、という我々映画好きなオッさんホイホイな掴みで始まり、多少のファンタジー要素なんかも全然ガマンできた。100%高校生に見えない板橋駿谷のいつもの熱演もいいスパイスだったし（彼こそ引越し屋のバイトしなきゃイカンだろ！）。
でも…うーん…なんだかなぁ…
キラキラ恋愛映画ばかりの映画部に対抗して「打倒ラブコメ！」を掲げていたのに結局ラブコメへと収束してしまう矛盾。そして「好きって言わずに好きを伝えるのが映画なんだよ」と言いながら、全てセリフで処理してしまうという大矛盾。
てゆーか、上映会の時のアレはダメだわ。超禁じ手。あんな事が許されるのならこの世の監督という監督が全員同じことしたいと思うよ。あんな演出で“奇跡のラストシーン”なんて言っちゃうセンスがとてもイヤだ。何でそんなメタ的な方向で逃げちゃうかなぁ。あなた達もはや映画部じゃなくて演劇部じゃん！劇中作品として、中身で勝負できなかったのかなぁ。「カメ止め」とか「ブリグズビー・ベアー」を観て欲しい。ちゃんと中身で勝負している。映画って多くの人達が関わる総合芸術であるからこそのある意味妥協の連続的な部分もあるし、そんな制約の中でこそ生まれる奇跡！って事もあるだろうし、あんな事するんだったら、それこそ「JUNK HEAD」みたいに一人で完全に納得いくまで何年でもかけてやってればイイじゃん、って思ってしまう。全くフィルムメーカーとしての責任を果たしていないじゃん。めっちゃ引いた。ホントあのシーンまでは4点台とか全然行ってたのに…
伊藤万理華の顔芸とかがメチャクチャ良かったのはもちろんだが、唯一「好きだって事を好きと言わずに表現」していた河合優実が最強だった。
