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オールドのTAKAのネタバレレビュー・内容・結末

オールド(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

M・ナイト・シャマラン監督のハリウッド映画最新作「OLD」を観た。
文中、ネタバレになる部分も少し含むが許されたい。

親子4人の家族でバカンスに訪れた先は、ネットで見ただけのリゾートホテル。個別の客ごとに作られたウェルカムカクテル、心地良い音楽の流れるロビー。
朝食後に支配人が、内緒のプライベートビーチを紹介すると言う。車で送迎ということになり、大量の食料をも積んで、別の家族も同行する中、到着したのは、完全に隔絶された奇岩に囲まれたビーチだった。
なんとなく違和感がありながらも、楽しもうと冒険を開始した6歳の少年は、若い女性の全裸死体が流れ着いて驚く。
その興奮が醒めないままに、少年と、11歳の姉の水着が窮屈になってきたと言い出すと、急激にハイティーン並みに成長して驚かせる・・・

M・ナイト・シャマラン監督得意のオリジナルファンタジーの世界が展開されるのだが、テーマは約1時間に7年もの成長を促す時間の流れ。
事件がいくつも発生し、人々はパニックになり、ビーチで楽しむどころではなくなる。
携帯電話も機能せず、各々の家族が脱出を試みるも、強力な圧力で跳ね除けられ、不可能だと判る。
連れてきた犬や、他の家族の中の老人は死んでいく、など時間の流れに抵抗ができないという、観ている私達へ伝わる息苦しさが最後までまとわりつく映画なのである。

このような場所に自分がいたら、どうなるだろうと考えてしまう。急速に訪れる穏やかな死を迎えるだけという状況に突然置かれるのは、とても厳しいことである。

映画では、突然無人島に不時着するなど、思いもよらない環境に身を置かざるを得ないことが起こる。そのたびに、自分なら乗り切れるだろうか、はたまた登場人物よりも早々と散る、などと考えてみることで、今生きる世界を改めて直視できるような、特別な機会を得た感じがするものである。

閉塞的な世の中であるが、ちょっと別の世界を体験するつもりで観るのも面白いだろう。それぐらいの娯楽性の映画がちょうどいい。
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