ようすけ

オールドのようすけのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
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冒頭のシャマランの挨拶、特典映像という枠組みでもなくわざわざ本編内に映像をつけたのはこの作品を見るうえで必要だからだろう。
そんなシャマランは劇中、バスの運転手とカメラを通してビーチを監視する役柄で出演している。
本作は映画制作を表しているようだった。世界(ビーチ)を設定し、人(観光客)を動かし、自分はカメラでそれを撮影(監視)する。メタ的二重構造になっているのではないか。
時間の経過が普通よりも速いのも、異常事態に見舞われるのも、映画の中では至極当然のことだ。
何かシャマランの映画観のようなものを改めてこの作品に感じる。(ということを踏まえるとビーチを出てからのくだりは若干蛇足感があるが、無ければ不満が出るのも分かる)

そしてワンアイディアの中で、何ともイヤなところを持ってくるものだ。あまりに突然かつ気まずすぎる初体験からの妊娠、その語の悲劇。認知症、骨折,,,etc。
その一方で老後の暖かみも、老眼(ぼかし)や難聴から感じられ意外とヒューマンドラマ性もある。感情の変化はホルモンバランスなどからくるものなのか?

撮影にも特徴的に思われるシーンがいくつかあった。手持ちでアップしたシーンが多く緊迫感が伝わる。またパンショットで画面内に壁を入れながらビーチ一帯を撮影することで、海にいながら閉鎖的印象を与え、カットを割っては絵的に伝わりにくい位置関係を明確にするのには、なるほどと感じた。
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