ちろる

カマリのちろるのレビュー・感想・評価

カマリ(2019年製作の映画)
3.6
カマリが植えて今まさしく芽を開こうとしているのは、新しい才能だけではなく、インドの女性の明日への扉。
カマリが無邪気に、本当に楽しそうにスケートボードをやることができるのは、他でも無いカマリの自由な未来を守りたかった母の愛があるから。
結婚に恵まれず、ろくでもない夫から大切な子どもを守るために母は1人になる決断をする。
それは結婚の失敗が人生の失敗のように見られてしまうこの国では相当の決意のいるものだったであろう。

カマリが叔父たちの元でスケートボードの練習をするその間、母が歩くのは巡礼の旅。
それは、自分が歩んだような苦しみを大切なカマリが味わいませんようにという強い願いが根底に強く溢れている。
カマリの無邪気な笑顔がこの母によって守られ続けるのだと思うと心がぎゅっと温かくなったエンディング。
どうか女の子がなにかを諦めるという未来が無くなりますように。
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